(3) 手紙
【監督】生野慈朗
【出演】山田孝之、沢尻エリカ
【制作】2006年、日本
東野圭吾の小説が原作の邦画。
テーマは重い。実の兄が殺人犯の男が、世間の冷たい目にさらされながら生きていくさまを描いた話。
で、まず、沢尻エリカがかわいい。実生活ではお騒がせ女優のイメージが定着してしまったが、公開当時20歳のこの顔は、間違いなくイイ。
ただ、ストーリーや設定に関しては、解せないところがいくつかある。
まず、この沢尻エリカ演じる白石由美子のひたむきさ。
彼女は山田孝之演じる武島直貴にストーリーを通じて一途に尽くすのだが、それがなぜなのか、今ひとつ描かれてないのだ。ほとんど話もしたことのない男で、しかも不当なまでに冷たい態度で突き放されたり、他の女性と結婚前提でつきあっているのを知っていたりするのに、全く落ち込むふうでもなく、直貴を励まし続ける。そこに何の理由があるのか、よくわからない。
一応、直貴と同様、自分も家族がバラバラになって、という身の上が語られるのだが、それが理由とは思えない。このあたりに、何か納得のいく設定があるとよかった。ベタだけど幼なじみだとか、あるいは、かつて直貴が気づかない形で由美子が直貴に助けられたことがあったとか。
次に、直貴のストイックさだ。これだけかわいい女の子が言い寄ってきているのに、全くニコリともしない。由美子に対する関心のなさが、ちょっとあり得ない。
最終的には、キスシーンも抱擁のシーンもなく、いきなり子供ができちゃうという。
外国映画ではキスシーンが当たり前のように出てきて、別にあれが映画に不可欠なシーンだと思っていたわけではないけれども、なければないで、何となく味気ないというか、まあ20歳の売れっ子女優に濡れ場は、というのもあるだろうけれども、結婚生活になる直前のシーンでは、ぎゅっと抱き合うぐらいはあってもよかったんじゃないのかな。
最後に、沢尻エリカの関西弁。関西弁なのか? というぐらい、よく分からないイントネーション。関西弁にする必然性もない。関西人は、えせ関西弁には非常に敏感だからね。あの、どの地方でもないようななまりが、由美子の飾らない性格を演出していた・・・のかもしれないけども。あまりにも流暢な関西弁だったら、それはそれで違和感があったかもしれないし。
とまあ、いくつか文句は言ったものの、映画自体は、話の展開に変化が多く、飽きさせない。見るのが2回目だけど、ついつい見ちゃったもんな。
最後の慰問のシーンは、小田和正の曲とも重なって、泣ける。原作と変えて漫才を持ってきたのもよかった。
【5段階評価】5
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