(2467) 優駿 ORACIÓN
【監督】杉田成道
【出演】緒方直人、斉藤由貴、吉岡秀隆、仲代達矢、緒形拳、加賀まりこ、石橋凌
【制作】1988年、日本
宮本輝の小説が原作の作品。ダービー馬を育てると若者と馬主となる若い娘を描いている。
北海道の小さな牧場で働く若者、渡海博正(緒方直人)は、父親の千造(緒形拳)が牧場の命運をかけて種付けをして生まれた馬を大事に育てる。和具工業の社長、和具平八郎(仲代達矢)は娘の久美子(斉藤由貴)にその馬を買い与える。平八郎には愛人の田野京子(加賀まりこ)との間に生まれた子供、誠(吉岡秀隆)がいた。誠は病気で入院しており、延命のためには父親からの腎臓移植を必要としていた。しかし平八郎は、会社の経営難を乗り切るのに懸命であり、腎臓移植をせずにいた。
久美子は、平八郎の秘書、多田時雄(石橋凌)に教えてもらったオラシオンという名を自分の馬につける。オラシオンは、渡海家の牧場から大規模な牧場に移り、競走馬として育てられる。誠の存在を知った久美子は病室の誠を訪ね、オラシオンの話をする。誠はオラシオンに憧れ、早くレースに出てテレビで見られることを願うようになる。しかし、オラシオンを車で運搬していた博正は、対向車を避けようとして側道に突っ込み、オラシオンが足を負傷する。怪我から明けたオラシオンは快走を続けるが、調教師の砂田重兵衛(田中邦衛)は、オラシオンが無理をして走っていると考える。誠に早くオラシオンを見せたい久美子は、オラシオンをレースに出すよう重兵衛に頼みこむが、重兵衛は聞かない。博正は久美子を諭すが、久美子は博正に誠の存在を教え、二人は誠の病室を訪ねる。オラシオンが見たいと話す誠を見て、博正は早朝の調教を誠に見せることを提案。三人は車でオラシオンを見に行き、誠は初めてオラシオンを目にする。
無理が祟ったのか、誠は病状が悪化。久美子は平八郎の会社に乗り込み、誠に腎臓を提供するよう頼む。久美子を怒鳴りつけて追い返す平八郎だったが、誠の病室を訪ねる。誠は初めて見る平八郎を父親と気づき、力ない声で、腎臓をください、と平八郎に懇願する。平八郎は誠の手を取り、うん、うん、と頷くが、誠はそのまま息を引き取る。
オラシオンは快走を続け、日本ダービーに出場が決まる。博正や久美子が見守る中、オラシオンは優勝。博正と久美子は、騎手の乗ったオラシオンの手綱を手に取り、凱旋するのだった。
フジテレビが制作にかかわり、バブル期の競馬ブーム押し上げに一役買った作品。売れっ子の斉藤由貴の出演や、緒形拳と緒方直人の親子共演などの話題性もあり、仲代達也や石坂浩二といった大物俳優も多数登場するが、バブリーで派手なつくりではなく、厳かにサラブレッドの尊さやはかなさを描いている。騎手の運命も描いているのだが、物語終盤で斜行の疑いがかかるくだりは、それと関係があるのか、シーンの必然性がよくわからなかった。
【5段階評価】3
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