2023年6月 5日 (月)

(2467) 優駿 ORACIÓN

【監督】杉田成道
【出演】緒方直人、斉藤由貴、吉岡秀隆、仲代達矢、緒形拳、加賀まりこ、石橋凌
【制作】1988年、日本

宮本輝の小説が原作の作品。ダービー馬を育てると若者と馬主となる若い娘を描いている。

北海道の小さな牧場で働く若者、渡海博正(緒方直人)は、父親の千造(緒形拳)が牧場の命運をかけて種付けをして生まれた馬を大事に育てる。和具工業の社長、和具平八郎(仲代達矢)は娘の久美子(斉藤由貴)にその馬を買い与える。平八郎には愛人の田野京子(加賀まりこ)との間に生まれた子供、誠(吉岡秀隆)がいた。誠は病気で入院しており、延命のためには父親からの腎臓移植を必要としていた。しかし平八郎は、会社の経営難を乗り切るのに懸命であり、腎臓移植をせずにいた。
久美子は、平八郎の秘書、多田時雄(石橋凌)に教えてもらったオラシオンという名を自分の馬につける。オラシオンは、渡海家の牧場から大規模な牧場に移り、競走馬として育てられる。誠の存在を知った久美子は病室の誠を訪ね、オラシオンの話をする。誠はオラシオンに憧れ、早くレースに出てテレビで見られることを願うようになる。しかし、オラシオンを車で運搬していた博正は、対向車を避けようとして側道に突っ込み、オラシオンが足を負傷する。怪我から明けたオラシオンは快走を続けるが、調教師の砂田重兵衛(田中邦衛)は、オラシオンが無理をして走っていると考える。誠に早くオラシオンを見せたい久美子は、オラシオンをレースに出すよう重兵衛に頼みこむが、重兵衛は聞かない。博正は久美子を諭すが、久美子は博正に誠の存在を教え、二人は誠の病室を訪ねる。オラシオンが見たいと話す誠を見て、博正は早朝の調教を誠に見せることを提案。三人は車でオラシオンを見に行き、誠は初めてオラシオンを目にする。
無理が祟ったのか、誠は病状が悪化。久美子は平八郎の会社に乗り込み、誠に腎臓を提供するよう頼む。久美子を怒鳴りつけて追い返す平八郎だったが、誠の病室を訪ねる。誠は初めて見る平八郎を父親と気づき、力ない声で、腎臓をください、と平八郎に懇願する。平八郎は誠の手を取り、うん、うん、と頷くが、誠はそのまま息を引き取る。
オラシオンは快走を続け、日本ダービーに出場が決まる。博正や久美子が見守る中、オラシオンは優勝。博正と久美子は、騎手の乗ったオラシオンの手綱を手に取り、凱旋するのだった。

フジテレビが制作にかかわり、バブル期の競馬ブーム押し上げに一役買った作品。売れっ子の斉藤由貴の出演や、緒形拳と緒方直人の親子共演などの話題性もあり、仲代達也や石坂浩二といった大物俳優も多数登場するが、バブリーで派手なつくりではなく、厳かにサラブレッドの尊さやはかなさを描いている。騎手の運命も描いているのだが、物語終盤で斜行の疑いがかかるくだりは、それと関係があるのか、シーンの必然性がよくわからなかった。

【5段階評価】3

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2023年6月 3日 (土)

(2466) 里見八犬伝

【監督】深作欣二
【出演】真田広之、薬師丸ひろ子、千葉真一、松坂慶子(声)、志穂美悦子、京本政樹、夏木マリ、目黒祐樹
【制作】1983年、日本

闇の軍勢を倒す戦士たちの活躍を描いたSF時代劇。

不老不死の妖怪、玉梓(たまずさ)(夏木マリ)と蟇田素藤(ひきたもとふじ)(目黒祐樹)は、宿敵、里見一族の静姫(薬師丸ひろ子)を狙う。侍志望の若者、犬江親兵衛(真田広之)は、山中を逃げる静姫を見つけ、彼女をさらおうとするが、静姫を守る使命を負った八犬士の犬山道節(千葉真一)と犬村大角(寺田農)が現れ、新兵衛を追い払う。道節は、静姫と八犬士の関係を静姫に話し、玉梓と素藤の討伐に向かうよう説く。
愛する義妹の浜路(岡田奈々)を失った怒りに燃える犬塚信乃(しの)(京本政樹)と、誰も愛さず愛されない運命を背負った女暗殺者、犬坂毛野(いぬさかけの)(志穂美悦子)が仲間に加わり、静姫らは残る犬士を探す旅に出る。新たな仲間、犬田小文吾(こぶんご)(苅谷俊介)、犬川荘助(そうすけ)(福原拓也)が加わるが、犬士の証である光る玉を持たない親兵衛は、道節から立ち去るよう命じられる。道節のもとを去った親兵衛は、玉梓の軍勢にさらわれ、玉梓から、自分が親兵衛の母親だと教えられる。親兵衛の手首のあざがその印だった。
犬士の玉を授かった闇の軍勢の武将、犬養現八(げんぱち)(大場健二)は、捕らえられた親兵衛を助け出し、犬士の玉に導かれて道節のもとに現れる。親兵衛は、闇の軍勢によって呪いをかけられており、静姫に襲い掛かるが、雷に打たれ倒れる。目が覚めた親兵衛の手には「仁」と書かれた玉が握られており、手首のあざは消えていた。こうして八犬士が揃い、静姫と親兵衛は愛し合うが、そこに現れた大蛇によって、静姫は闇の軍勢に連れ去られてしまう。親兵衛たちは、妖怪を討つことができる弓を携え、闇の軍勢の居城に向かう。仲間が次々と犠牲になりながらも、本丸にたどり着いた親兵衛は、静姫とともに玉梓と素藤を成敗する。
静姫を城に送り届けた親兵衛は、静姫との身分の違いを感じながら城を後にし、荒れ地で、命を落とした七人の犬士の墓を建てる。すると、そこに馬に乗った静姫が現れる。二人はともに生きていくことを決め、手を取りながら馬で走り続けるのだった。

魔界転生」や「伊賀忍法帖」と同系統のエログロ歴史絵巻。夏木マリの豊かなおっぱいも見どころ。いかにも特撮の巨大ムカデ妖怪などが登場するようなチープさもあるが、仲間を増やしながら巨大な敵に立ち向かう物語には、正道RPGを進めているようなわくわく感があった。

【5段階評価】4

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2023年5月22日 (月)

(2465) ムーンライト

【監督】バリー・ジェンキンス
【出演】トレバンテ・ローズ、アレックス・ヒバート、アシュトン・サンダース、マハーシャリ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホランド
【制作】2016年、アメリカ

黒人青年の人生を描いた作品。第89回アカデミー賞作品賞受賞作品。

少年時代のシャロン(アレックス・ヒバート)は他の子供にいじめられて空き家に逃げ込んで隠れているところを、麻薬売人のフアン(マハーシャリ・アリ)に見つかる。フアンはシャロンに優しくし、家に招く。翌日、フアンはシャロンを家に送るが、母親のポーラ(ナオミ・ハリス)はフアンを警戒する。ポーラは麻薬の常習者だった。
成長したシャロン(アシュトン・サンダース)は、相変わらず級友にいじめを受けていた。彼と対等の付き合いをしてくれているケビン(ジャレル・ジェローム)と、夜に海岸で出会ったシャロンは、麻薬を吸いながら語り合う。二人はいつの間にかキスをし、シャロンはケビンに身を任せる。ケビンは学校で、クラスのボス格の少年テレル(パトリック・デシル)からシャロンを殴るよう指示し、ケビンは仕方なくシャロンを殴る。シャロンは顔にけがをするが、先生に相手を告訴するよう促されてもそれには従わなかった。しかし、意を決したように登校したシャロンは、問答無用にいじめの主犯格を背後から椅子で殴りつけ、警察に連行される。
青年になったシャロン(トレバンテ・ローズ)は、麻薬の売人になっていた。ある日、ケビンから久しぶりの電話が入る。ケビンはレストランのコックをしているという。店を訪ねたシャロンはケビンと再会。ケビンはシャロンにワインを進め、閉店後、家に招く。ケビンは別れた妻との間に一人の息子がいて、思い通りではないが不安のない暮らしをしていると告げる。シャロンは伏し目がちに、自分はあれ以来、ケビン以外の人に触れていないと話す。ケビンはその夜、シャロンの肩を優しく抱くのだった。

いじめにあい、薬物中毒の母親を持つ不幸な境遇の少年の運命を、控えめに描いている。ことさら感動的に、でもなく、悲劇的に、でもない。また、不幸な境遇に強く立ち向かっているわけでもない。運命に流されるように生きているシャロンは、ケビンに肩を抱かれているが、おそらくケビンと幸せに暮らし続けるわけではないだろう。麻薬売人のフアンが若くして亡くなっていることも暗示的だ。
アカデミー賞では、作品賞の発表の際に「ラ・ラ・ランド」と一度誤発表された逸話がある。

【5段階評価】4

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2023年5月21日 (日)

(2464) メンフィス・ベル

【監督】マイケル・ケイトン=ジョーンズ
【出演】マシュー・モディーン、テイト・ドノバン、ビリー・ゼイン、デビッド・ストラザーン、ジョン・リスゴー
【制作】1990年、イギリス、アメリカ

米軍爆撃機の乗組員の死闘を描いた作品。

ドイツの工場爆撃の任務を果たすため、デニス(マシュー・モディーン)やルーク(テイト・ドノバン)ら10人は、爆撃機メンフィス・ベルに乗り込み、基地を出発。爆撃機の編隊は、ドイツ軍戦闘機の攻撃や地上からの砲撃を受け、数を減らしていく。煙幕で爆撃手のバル(ビリー・ゼイン)は工場を発見できず、デニスは旋回して再度爆撃を試みることを選択。ついに煙幕が晴れ、爆撃に成功する。しかし、帰途での攻撃でダニー(エリック・ストルツ)が負傷。バルは出血多量のため基地まで持たないと判断し、パラシュートを付けてドイツの領域に落とす方法を取ろうとするが、仲間の説得により思いとどまる。機銃など重いものを投下して何とか基地に接近したメンフィス・ベルは、出てこない片輪を手動で出し、着陸に成功。仲間が熱く出迎えるのだった。

爆撃機に焦点を当てつつ、途中で家族を戦争で失った遺族の手紙などを織り交ぜながら、戦争の悲惨さを描いている。狭い不自由な爆撃機の空間の中で、若者たちが狂気と隣り合わせになりながら必死で任務を全うしようとする姿が克明に描写されている。
爆撃主バルを演じたビリー・ゼインは、「タイタニック」で悪役の富豪を演じている。

【5段階評価】3

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2023年5月11日 (木)

(2463) ロボコップ

【監督】ジョゼ・パジーリャ
【出演】ジョエル・キナマン、アビー・コーニッシュ、ゲイリー・オールドマン、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン、パトリック・ガロウ
【制作】2014年、アメリカ

1987年の近未来SF作品「ロボコップ」のリブート作品。サイボーグとなった警官と家族の苦悩を描く。

悪人に敢然と立ち向かう警官、アレックス・マーフィ(ジョエル・キナマン)は、-.密輸組織のボス、バロン(パトリック・ガロウ)を逮捕するため、接近するが囮捜査で彼に接近するが、たれこみにより感づかれてしまう。相棒のジャック(マイケル・K・ウィリアムズ)は撃たれて重傷を負い、無事だったアレックスも、車に爆弾を仕込まれ、自宅で爆破に巻き込まれて瀕死の重傷を負う。
治安用ロボットを開発するオムニコープ社のCEO、レイモンド・セラーズ(マイケル・キートン)は、ロボットに否定的なアメリカの世論を覆すため、ノートン博士(ゲイリー・オールドマン)の協力を取り付け、アレックスの妻、クララ(アビー・コーニッシュ)の同意を得て、頭部と肺と片方の手のひらのみとなったアレックスをサイボーグとして再生する。
目覚めたアレックスは自分の姿に驚愕し、殺してくれとノートン博士に告げるが、妻と息子(ジョン・ポール・ラッタン)が彼を待っていると聞き、サイボーグ警官として生きることを決意する。家族との再会を果たしたアレックスだったが、機械の体を維持するため、すぐさま研究施設に逆戻りすることになる。
犯罪に関するデータを脳に叩き込まれたアレックスは、自分の爆発事故の情報も頭に入って興奮状態となる。ノートン博士は極限までアレックスの感情を抑え込み、アレックスの興奮状態は収まるが、今度は逆に、家族にすら何の感情も示さない状態となる。凶悪犯の逮捕を冷徹に次々と成し遂げるアレックスだったが、クララはアレックスと会わせてもらえず、オムニコープ社に対する不信を募らせていく。
アレックスはコンピュータによる制御を自らの意志で上書きし始め、バロン捜査の優先順位を勝手に高める。アレックスが近づいてくることを察知したバロンは大勢の部下とともに重火器で迎え撃つが、アレックスはバロンを仕留める。バロンのアジトに残された武器から、警察官の指紋を検出したアレックスは、汚職警官のもとに向かい、銃で攻撃しようとした汚職警官に反撃。黒幕が本部長(マリアンヌ・ジャン=バプティスト)だと知ったアレックスは本部長の逮捕に向かうが、セラーズと組んでいたリック・マトックス(ジャッキー・アール・ヘイリー)がアレックスの回路を遮断し、アレックスは無力化する。
アレックスを制御できなくなったと考えたセラーズは、アレックスが死んだことにしようと考え、クララにそう説明するが、アレックスはノートン博士によって解き放たれ、セラーズのもとに現れる。セラーズは赤いマーカーを腕につけており、プログラムによってアレックスはセラーズを撃つことができない。セラーズは勝ち誇ったように自分の銃をクララに向けるが、アレックスは自らの意志でプログラムを超え、セラーズを撃つ。撃たれたセラーズもアレックスを撃ち、相撃ちとなるが、セラーズは絶命し、アレックスはノートン博士によってよみがえる。目覚めたアレックスは再度、愛する妻と娘との再会を果たすのだった。

前作はB級感が漂いながらも痛快なアクション作品だったが、本作は家族愛に焦点が当たり、シリアスな内容。もちろん特撮のレベルは格段に上がっており、飽きさせずスタイリッシュな作品ではあったが、どちらが面白かったかというと、前者と言わざるを得なかった。

【5段階評価】4

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2023年5月 9日 (火)

(2462) ブルドッグ

【監督】F・ゲイリー・グレイ
【出演】ビン・ディーゼル、ラレンズ・テイト、ジャクリーン・オブラドース、ジーノ・シルバ
【制作】2003年、アメリカ

麻薬王を追う麻薬捜査官の奮闘を描いたアクション作品。

麻薬捜査局の捜査官ショーン(ビン・ディーゼル)は、相棒のデメトリウス(ラレンズ・テイト)らとともに、7年間追い続けた麻薬王メモ・ルセロ(ジーノ・シルバ)を逮捕。しかしルセロは後悔することになるぞと不敵にふるまう。ロサンゼルスに戻ったショーンは愛妻のステイシー(ジャクリーン・オブラドース)と穏やかに過ごすが、夜、自宅を銃で武装した集団に襲撃され、ショーンは負傷し、ステイシーは帰らぬ人となる。
ショーンはルセロの後も麻薬密売を続けるディアブロの存在を暴くためルセロに接近。自身も妻と子どもを殺されたルセロはショーンに情報を渡す。ショーンは麻薬業者になりすまし、ディアブロの取引現場に向かうが、そこに現れた取引相手が、ルセロを捕らえた捜査官の妻を殺したのは、くそみてえな女だったぜ、と言ったことに逆上し、男を殴り殺してしまう。捜査は台無しとなって捜査側と麻薬組織の激しい銃撃戦となり、捜査官が3名死亡する。ショーンは解任を命じられてしまう。
ショーンはルセロに会いに行く。ルセロは、ディアブロという魔物を倒すなら警官ではなく自分が魔物になるのだとショーンに告げ、金のありかの情報とともに自分を別の刑務所に移送するよう依頼する。ショーンはデメトリウスとビッグ・セクシー(ジョージ・シャーパーソン)とともに、ディアブロとつながりのあるポモナ・ジョー(ジェフ・コーバー)のいるバーを襲撃。ジョーを脅してディアブロに麻薬取引を持ちかけさせ、自家用ジェットで現金を持ってきたハリウッド・ジャック(ティモシー・オリファント)を捕らえ、取引現場の飛行場に向かう。しかし、ディアブロの組織はハリウッドの怪しさに気づき、彼を撃ち殺して機内の現金を持ち出して去る。機内に隠れていたショーンとデメトリウスは札束に仕込んだDPSを追って彼らのアジトを突き止め、中に潜入。そこにいたのはディアブロこと、ルセロの忠実な部下だったマテオ(ファン・フェルナンデス)だった。ショーンは銃撃戦の末、マテオを始末し、デメトリウスとともにアジトを後にする。一方、ルセロは移送の車を仲間に襲撃させ、脱走を成功させていた。ショーンはメキシコのルセオの故郷に向かう。そこにはボディーガードに囲まれ、若い女性と談笑するルセオがいた。ショーンを見つけたルセオは、自分の故郷に来たショーンをなじるが、彼らは警察に取り囲まれていた。ルセオは再び逮捕され、ショーンは立ち去る。ショーンは妻の墓に向かい、デメトリウスとともに墓地を去るのだった。

細かいあらがいろいろある娯楽作品だった。妻を殺されることで、悪人を殴り殺してもいいという大義名分を手に入れた正義の男が、犯罪者の命を犠牲にしながら復讐を果たすというパターン。ルセオを殺すという結末にしていなかったところは上品だった。

【5段階評価】3

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2023年5月 8日 (月)

(2461) ルパン三世

【監督】北村龍平
【出演】小栗旬、黒木メイサ、玉山鉄二、綾野剛、浅野忠信
【制作】2014年、日本

モンキー・パンチの漫画「ルパン三世」の実写化作品。クレオパトラの首飾りを狙う攻防を描いている。

義賊組織「ザ・ワークス」を束ねるトーマス・ドーソン(ニック・テイト)は、ルパン三世(小栗旬)ら新旧の泥棒を呼び寄せ、自分の地位を後継者に譲ることを宣言。初回オリンピックのメダルを手に入れた峰不二子(黒木メイサ)がその座につくことになる。ザ・ワークスが集めた財宝が披露され、その中にはルビーが外されているという曰く付きのクレオパトラの首飾りがあった。その場にいたマイケル・リー(ジェリー・イェン)はドーソンを裏切り、ドーソンの邸宅を襲撃した仲間とともにクレオパトラの首飾りを奪って逃走。ドーソンはマイケルの仲間に撃ち殺されてしまう。マイケルは首飾りのルビーを持つセキュリティ会社の富豪、モムラーチャオ・プラムック(ニルット・シリチャンヤー)に取り引きを持ちかけ、ルビーを買収しようとするが、逆に首飾りを買い取られてしまう。マイケルは生き別れとなった実の妹と信じる不二子のために、完成した首飾りを求めていたのだった。マイケルとルパンは手を組むことにし、仲間の次元大介(玉山鉄二)と石川五右衛門(綾野剛)、ピエール(キム・ジュン)、さらにハッカーのヨゼフ(ジャエンプロム・オンラマイ)とともに、堅牢を誇るプラムックのセキュリティ施設に挑む。
ルパンとマイケルは、それぞれ銭形警部(浅野忠信)とタイ軍のナローン大佐(ウィッタヤー・パンシリガーム)に変装して施設に入り込むと、ヨゼフがハッキングして施設内のセキュリティシステムを無力化。プラムックの犯罪に関するデータをタイ軍に送り込む。ルパンとマイケルは金庫に保管されたクレオパトラの首飾りを手にするが、直後に金庫室にロックがかかり、室内の空気が抜かれていく。ルパンは持っていた爆薬で一か八か扉を爆破しようとする。マイケルはルパンを救うため、ルパンを金庫の中に押し込んで爆弾を起爆。マイケルは命を落とす。ルパンは一命を取り留めるが、金庫室から出たところで捕らえられてしまう。仲間達もプラムックの部隊に取り押さえられていた。そこに銭形警部とナローン大佐が軍隊を引き連れて到着。悪事を暴かれたプラムックは逮捕されてしまう。銭形警部は首飾りを受け取ってルパン達を見逃すが、首飾りは偽物。ルパン達は無事に逃げおおせる。
日本に戻ったルパンは、不二子に首飾りをプレゼントするが、不二子は銭形警部にルパンの居場所を知らせており、首飾りを持って逃走。ルパンと次元、五右衛門は大笑いして、銭形警部の追撃から逃げるのだった。

見ていて恥ずかしくなるようなキザなやりとりが多いが、役になりきることでギリギリ見てらんない感を乗り越えていた。アニメの影響力がすごく、ルパンや銭形警部、次元の口ぶりに、自ずとアニメでの雰囲気を探してしまった。寄せすぎるとものまねになるし、別物すぎると違和感がある中、ほどよい演出だった。
また、全編を通して英語のセリフが多く、邦画でここまでこだわるかという気もしたが、英語にすることでキザなやりとりが目立たなくなる効果はあった。小栗旬の妻、山田優がキャビンアテンダント役でちょこっと登場している。

【5段階評価】3

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2023年5月 6日 (土)

(2460) 滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie

【監督】滝沢秀明
【出演】Snow Man、ジャニーズJr.
【制作】2020年、日本

Snow Manの8人の歌や芝居、殺陣を詰め合わせた作品。

真剣に殺陣をやったり、かっこいい曲をかっこよく決めたり、終盤は長いセリフのシーンを堂々と演じたりと、Snow Manのエンターテイナーぶりを味わえる。

ファンにはたまらない作品だろうが、ファンではない人には苦痛かもしれない。それでも、一生懸命やっているんだなということは伝わった。

【5段階評価】2

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2023年5月 5日 (金)

(2459) ダウンタウンヒーローズ

【監督】山田洋次
【出演】中村橋之助、薬師丸ひろ子、柳葉敏郎、尾美としのり、渥美清、石田えり、坂上忍
【制作】1988年、日本

戦後間もない日本の男子高校生の青春を描いた作品。

名門、松山高校の生徒、志麻洪介(中村橋之助)は、男臭い寮生活を送っていた。洪介は、時々すれ違う女学生(薬師丸ひろ子)に淡い恋心を抱く。洪介は、家庭教師をしている児童の家で彼女、中原房子と再会し、知り合いになる。
洪介のいる東寮が、高校の記念祭で演劇「理髪師チッタァライン」を披露することになり、監督を務めるオンケル(柳葉敏郎)は、ヒロインのアガーテ役を房子に依頼。房子はアガーテの夫レオンハルトを演じるのが洪介と知り、アガーテ役を引き受けることにする。オンケルは芝居の練習を通じて房子を好きになっていく。演劇は成功を収め、オンケルは房子のことで頭がいっぱいになり、勉強が手に付かなくなる。オンケルは長文の恋文をしたため、房子に渡してくれと洪介に頼む。洪介は房子の家を訪ね、房子に向かって、君のことが好きで頭から離れないと切り出す。洪介を憎からず思っていた房子は喜びそうになるが、洪介は続けて、これは僕じゃなくてオンケルが言ったのだと告げ、オンケルの恋文を置いて立ち去る。房子は恋文を数枚めくるとそれを持って洪介を追いかけ、恋文を返す。房子は、こんな大事なことを人に頼むオンケルは嫌いだし、頼まれたからと言って持ってきた洪介も大嫌い、と叫び、走り去る。
洪介は酔って寮に戻り、手紙は突き返されたとオンケルに話す。オンケルは洪介が房子に惚れていて、手紙を渡さず一緒にいたんだろうと勘ぐり、二人は大げんか。翌日、オンケルは寮を出て行方が分からなくなる。みんなは自殺でもしないかとオンケルを心配するが、無事でいて高校を退学することにしたという報せが入る。高校を卒業した洪介は九州大学に入学することになる。街で芝居小屋を見つけた洪介はオンケルと再会。オンケルは洪介を歓迎し、房子は元気かと洪介に尋ねるが、洪介はあれから会っていないと告げる。松山に戻った洪介は房子に会いに行く。再会を喜ぶ房子に、洪介は、言うつもりではなかったがずっと好きだったと告白する。そのまま立ち去ろうとする洪介に、房子は、「どうして返事も聞かないで行っちゃうの。分からないのあたしの気持ちが。ずっと好きだったのに洪介さんのこと・・・」と告げる。結局二人が結ばれることはなく、年月が過ぎ、洪介は、再会の3年後にヤクザに刺されて亡くなったオンケルの遺志を継ぐようにシナリオライターになったのだった。

古い学生寮に住む男子高校生の様子が描かれている。ふんどし一丁だったり、それすら付けていないような男たちが肩を組んだり抱き合ったりして馬鹿騒ぎするところには、決して近づきたくはないわけだが、そこにかくまわれることになった遊郭の女性(石田えり)に、服をプレゼントしたり専用のトイレの個室を設けたりして、学生達は指も触れず大切に扱うし、女一人で芝居稽古に打ち込む房子も大切に扱われる。彼女たちによこしまなことをしようとする学生は一人も描かれない。監督の上品さ、良心を感じるのだった。

【5段階評価】3

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2023年5月 4日 (木)

(2458) 名探偵コナン ハロウィンの花嫁

【監督】満仲勧
【出演】高山みなみ(声)、山崎和佳奈(声)、古谷徹(声)、湯谷敦子(声)、高木渉(声)、山口由里子(声)
【制作】2022年、日本

名探偵コナンシリーズ第25作。「名探偵コナン 緋色の弾丸」の続編。

タレコミに基づき張り込みをしていた公安の安室透(古谷徹)は、首輪型の爆破装置を付けた男と遭遇。装置は爆発し、仲間を助けようとしていた安室は謎の人物に同じ首輪を付けられる。安室はコナン(高山みなみ)を呼び出して、身動きが取れない自分の代わりに捜査への協力を要請し、3年前の事件の話をする。彼は3年前、警察学校の仲間とともに、プラーミャと呼ばれる爆弾犯を発見。爆弾自体は爆弾処理を担当する松田陣平(神奈延年)が何とか処理するが、犯人は取り逃していた。安室の首輪の爆弾は、3年前の事件の時に処理したものと同様、ピンクと水色の液体が混ざることで爆発する仕組みだった。
目暮警部(茶風林)の元同期の村中(三宅健太)が、ロシア人のクリスティーヌ・リシャール(山口由里子)と結婚式を挙げることになる。彼女宛のプレゼントを受け取りに雑居ビルに入ったコナンは、そこにあった時限爆弾の爆発に巻き込まれそうになり、間一髪で脱出。コナンから事情を聞いていた佐藤刑事(湯谷敦子)のもとに、千葉刑事(千葉一伸)を人質にとった人物から、松田刑事を呼ぶよう脅迫する電話が入る。松田刑事はすでに殉職しており、代わりに高木刑事(高木渉)が電話の主のもとに向かう。そこにいたのはロシア人の集団だった。彼らはプラーミャに家族を殺された過去を持ち、プラーミャへの復讐を狙っていた。高木を追っていたコナンの情報を元に警察が踏み込むが、ロシア人一団は脱走する。
自分たちが狙われていると考えた村中は挙式を中止しようとするが、クリスティーヌのもとに、結婚式を中止するなという脅迫のメッセージが届く。二人は警察の監視の中、結婚式を執り行う。コナンは、プラーミャの招待に気づき、プラーミャに恨みを持つ集団に真実を告げに行く。彼らはコナンとともに結婚式場に現れる。プラーミャの正体は、クリスティーヌだった。彼女は自分を知る人物を抹殺するため、渋谷全体を爆発させる計画を立てていた。プラーミャは式場を抜け出てビルの屋上に向かう。しかし彼女の呼んだヘリのパイロットは安室だった。安室は仲間の奮闘によって爆弾の無力化に成功しており、プラーミャは単身でヘリに乗り込み、安室に付けた爆弾を爆発させようとするが、代わりにヘリの中で爆発が起きる。安室はヘリに飛び移るとプラーミャと格闘。ヘリは渋谷に落下し、村中によってプラーミャは取り押さえられる。渋谷の街に仕込まれた爆破装置が起動し、2種類の液体が渋谷交差点に向けて流れ始めるが、コナンは阿笠博士(緒方賢一)の作った巨大サッカーボールを使って流れをせき止めることに成功するのだった。

事件の規模を大きくした結果、渋谷全体に二種類の液体が流れて大爆発が起きるという常識外れな展開で、その解決方法も巨大サッカーボールを膨らませて流れをせき止めるという漫画のような展開(まあ漫画原作なんですけども)。犯人の目的も大雑把だし、犯人が挙式を実行する意味も分からない。ヘリのパイロットが安室だったり、安室に襲いかかるプラーミャを村中が食い止めたり、といった都合のよい展開に何の説明もなかったりして、大味な娯楽作品。こうなると渋谷の実在の建物もステマに見えてしまうのだった(実際、ステマなんだろうけど)。

【5段階評価】3

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