2021年1月19日 (火)

(2302) レジェンド/光と闇の伝説

【監督】リドリー・スコット
【出演】トム・クルーズ、ミア・サラ、ティム・カリー、ダーフィト・ベンネント
【制作】1985年、イギリス、アメリカ

闇の魔王と戦い、王女を救う青年の活躍を描いたファンタジー作品。

闇の魔王(ティム・カリー)は太陽の昇らない世界を作るため、ユニコーンの討伐を小鬼のブリックス(アリス・プレイテン)に命じる。天真爛漫な王女リリー(ミア・サラ)は、森の青年ジャック(トム・クルーズ)にユニコーンを見せてもらい、その美しさに見とれてユニコーンに手を触れてしまう。ブリックスはその隙にユニコーンに毒矢を撃ち、逃げて弱ったユニコーンの角を手に入れる。リリーはジャックと口づけし、自分と結婚したければこの指輪を持ってくるように、と言ってつけていた指輪を川に投げ込む。ジャックは川に飛び込むが、そのとたん、世界は雪に覆われてしまう。
ジャックはガンプ(ダーフィト・ベンネント)という森の精と出会い、世界を闇の世界から守るため、魔王討伐に向かう。魔王はリリーに恋をし、悪魔の姿にして自分のものにしようとするが、ジャックは魔王の城の食器を鏡にして太陽の光を浴びせ、魔王を倒す。ジャックは川に沈んだ指輪を手に入れ、王女と結ばれるのだった。

エイリアン」、「ブレードランナー」と歴史に残る名作を立て続けに世に送ったリドリー・スコット監督の続作が、なんとこれ。序盤から「私は暗闇を支配する魔王だ」と魔王が自己紹介して、ゴテゴテの特殊メイクをしたゴブリンに命令を下す。「えっこれ本当にリドリー・スコット監督作品? 」と不安になる。すると今度は森の中で歌うステレオタイプなお姫様が現れ、ステレオタイプな村人と触れ合って素朴さをアピールしたあと、動物に好かれているステレオタイプな森の青年と戯れ、ユニコーンに触れるという、観客には何がいけないのかピンとこない禁忌を犯し、慌てて止めていたはずの青年と何もなかったようにいちゃいちゃし、指輪を川に投げ込むという暴挙を犯しながら、姫ゲットのため迷わず青年が川に飛び込むと、自分が川に指輪投げ込んだんだにもかかわらず、青年の蛮勇にパニック状態。すると突然辺り一面真冬になり、姫は慌てて村人のもとに逃げ帰るというグダグダな流れ。王女だったら居城に帰れよ。
ジャックはその後、これまたステレオタイプなおとぼけなこびとと精霊との珍道中。そして中盤、それまで声だけだった魔王が姿を現すと、観ている方が恥ずかしくなるようなデカすぎる角とデカすぎる顔の、ギャグ漫画のような出で立ち。魔王がリリーを闇の世界に引き込むときには、黒い衣装を着た人物が踊りながらリリーを踊りに巻き込むのだが、なんでファンタジー映画なのに特撮を使わず舞台演劇のような演出にしているのか、はなはだ理解不能。至る所がチープなだけでなく、終始、全く物語に感情移入できない。リドリー・スコット監督にとってもトム・クルーズにとっても、黒歴史と言っていい作品だろう。
では本作に全く観る価値がないかというと、「ハリー・ポッター」シリーズや「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズが、いかによくできている映画なのかを理解できるという価値があった。ボタンを掛け違うとこうも駄作になるのか、という恐ろしさを知ることのできた作品。

【5段階評価】2

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2021年1月18日 (月)

(2301) Re: ゼロから始める異世界生活 氷結の絆

【監督】渡邊政治
【出演】高橋李依(声)、内山夕実(声)、黒田哲章(声)
【制作】2019年、日本

魔法の世界で生きる少女と精霊との交流を描いたアニメファンタジー。長月達平のライトノベルが原作。

心優しい少女、エミリア(高橋李依)は精霊術を操り、銀髪と紫紺の瞳という外見から、人間には魔女として恐れられていた。エミリアは火の精霊メラクェラ(黒田哲章)に攻撃されるが、エミリアを守護する精霊パック(内山夕実)と契約し、メラクェラを退ける。

一連のアニメの主要な登場人物であるエミリアとパックが精霊の契約を結ぶまでを描いたスピンオフ的な作品なので、同作を知らない人には今ひとつの内容。OVAが劇場公開されたもので、アニメの品質もそれほど高くはなかった。エミリアがとにかく純真無垢で、パックのボケにもきちんと受け答えするのは可愛らしく微笑ましかったので、評価は甘めの3。

【5段階評価】3

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2021年1月17日 (日)

(2300) 狂った果実

【監督】中平康
【出演】津川雅彦、北原三枝、石原裕次郎、岡田眞澄
【制作】1956年、日本

若者の恋の行方を描いた青春映画。

男兄弟の夏久(石原裕次郎)と春次(津川雅彦)は鎌倉の駅で美しい女性、天草恵梨(北原三枝)と出会う。春次は一目惚れし、海で再会した恵梨と会う約束を取り付ける。恵梨は純粋な春次と恋仲になる。春次は恵梨をパーティに連れてきて、春次を子供扱いしていた周囲を驚かせるが、夏久は恵梨が妙に男慣れしていることが気になる。果たして恵梨は初老の外国人男性(ハロルド・コンウェイ)を夫に持つ既婚者だった。弟を守ろうとして恵梨に接近した夏久だったが、次第に彼自身が恵梨に惹かれ、関係を持つようになる。夏久は春次と恵梨が船で遠出をしようとしていることを知り、先回りして恵梨を自分のヨットに乗せて連れ去ってしまう。それを知った春次はボートに乗り、血眼になって二人を探す。浜辺に漂着した状態で一夜を明かした春次は再びボートを走らせ、ついに沖のヨットに乗る二人を見つける。執拗にヨットの周囲をボートで回る春次に夏久は折れ、お前の勝ちだと言って笑う。恵梨はヨットから海に飛び込み、春次に近寄ろうとするが、春次は恵梨をボートで轢くと夏久のヨットにボートで体当たり。ヨットは大破し、春次はそのまま走り去るのだった。

純粋で一途な恋心が、狂気に変わるさまを描いた作品。石原裕次郎がどちらかというと悪役を演じているのが特徴的。本作で共演している石原裕次郎と北原三枝は、のちに結婚している。なお、梨恵の夫役のハロルド・コンウェイは英語では「Harold Conway」だが、なぜか映画の出演者の表記では「コン・ウェイ」となっていた。何があったんでしょうか。

【5段階評価】3

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2021年1月16日 (土)

(2299) ムトゥ 踊るマハラジャ

【監督】K・S・ラビクマール
【出演】ラジニカーント、ミーナ、サラット・バーブ、ジャヤバーラティ、スバーシュリー
【制作】1995年、インド

とある使用人の活躍と出生の秘密を描いたミュージカル映画。

独身の富豪ラージャー(サラット・バーブ)に仕える使用人のムトゥ(ラジニカーント)は腕利きで、周囲の信頼を集める人気者。芝居好きのラージャーは、芝居で見かけた女優のランガナーヤキ(ミーナ)に一目惚れし、彼女との結婚を決意する。ある日、芝居の舞台になだれ込んできた悪漢からランガナーヤキを守るため、ラージャーは、ムトゥに彼女を連れて逃げるよう指示するが、ムトゥとランガナーヤキは一緒に逃亡を続けるうちに恋仲となる。
ラージャーの伯父アンバラッタール(ラーダー・ラビ)は、財産目当てに娘のパドミニ(スバーシュリー)をラージャーに嫁がせようとするが、ラージャーの心がランガナーヤキにあることを知り、手下のカーリ(ポンナーンバラム)を使ってムトゥがランガナーヤキを自分と結婚するよう脅しているという嘘を吹き込む。それを真に受けたラージャーはムトゥを追放してしまう。それを見たラージャーの母親シバガーミ(ジャヤバーラティ)はラージャーに驚愕の真実を話す。実はムトゥは使用人の身分ではなく、本来の地主であるシバガーミの兄(ラジニカーント、二役)の跡継ぎだった。彼がいとこに騙されて土地を奪われたとき、いとこを罰することをせずむしろ財産を譲って聖者として過ごすことに決め、その際、シバガーミが身分を内緒にすることを条件にムトゥを引き取り、使用人として育てていたのだった。ラージャーは自分の行いを悔い、聖者を屋敷に招こうとするが、アンバラッタールはカーリとともに夜道を行くラージャーを襲って川に投げ捨て、翌朝、カーリがムトゥがラージャーを殺したと叫んで回る。そこにムトゥが現れ、カーリに向かってラージャーに何をしたと激怒。あまりの怒りにカーリはアンバラッタールの指示であることを白状する。今度はアンバラッタールは大勢の人に追われる番となるが、そこにラージャーとパドミニが姿を現す。ラージャーは聖者に救助され、無事だったのだ。おそらくパドミニが介抱し、ラージャーはパドミニを愛することを決めたのだろう。アンバラッタールはラージャーに謝罪し、許しを得る。ラージャーはムトゥとランガナーヤキの手を握らせ、二人の愛を祝福する。ムトゥは晴れて屋敷に戻る。ラージャーはムトゥをご主人様と呼ぶが、ムトゥはラージャーが身につけていた使用人の手ぬぐいを自分の腰に巻き、いつものように高らかに歌声を響かせるのだった。

序盤はドタバタコメディでおバカミュージカルのノリなのだが、後半、一転してシリアスな展開となるのが面白い。ミュージカルシーンは、アメリカのミュージカルのように街の中を背景とせず、大がかりな舞台やセットの中で踊るようなスタイル。カット割りを多用し、凝った作りになっている。ランガナーヤキ役のミーナ、パドミニ役のスバーシュリーはどちらも美人女優だが、腰の辺りの贅肉もふくよかで、この辺りはインド人の好みなのかもしれない。終盤で、アンバラッタールが怒った人々に追いかけられるのだが、その数が異様に多く、「こんなにエキストラ必要ないだろ」とツッコみたくなること間違いなし。唯一恋が実らなかった脇役のテーナッパン(センディル)にも、出家するという落ちを用意し、放っておかないところも微笑ましい。そんな妙なこだわりも含めて、いわゆるボリウッドムービーの代表作として、一度は観ておきたい作品。

【5段階評価】4

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2021年1月15日 (金)

(2298) ウェスト・サイド物語

【監督】ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ
【出演】ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノ、ラス・タンブリン
【制作】1961年、アメリカ

若い不良集団の抗争と一組の男女の恋を描いたミュージカル映画。

ポーランド系アメリカ人の若者集団、ジェット団と、プエルトリコ系アメリカ人のシャーク団は、空き地の縄張り争いをしていた。ジェット団のリーダー、リフ(ラス・タンブリン)は元ジェット団の兄貴分トニー(リチャード・ベイマー)に協力を求める。シャーク団のリーダー、ベルナルド(ジョージ・チャキリス)は妹のマリア(ナタリー・ウッド)を地元のダンスパーティに連れて行く。マリアとトニーはそのダンスパーティで出会い、互いを運命の人だと確信する。ベルナルドは反対するが、二人は夜に隠れて会い、互いの愛を深めていく。
リフとベルナルドは縄張り争いを一対一の決闘で決着を付けることにする。決闘の場に現れたトニーは、なんとか無益な争いを阻止しようとするが、興奮したリフとベルナルドがナイフを取り出し、ベルナルドがリフを刺してしまう。それを見たトニーは衝動的にベルナルドをナイフで切りつける。パトカーのサイレンが聞こえ、ジェット団とシャーク団は逃げ出し、その場には倒れたリフとベルナルドだけが残される。二人はそのまま命を落とす。
兄の死を悲しむマリアの部屋にトニーが現れる。マリアはトニーを責めるが、トニーは自分が止めようとしたことを説得し、二人で街を出ようと言って去って行く。ベルナルドの恋人アニタ(リタ・モレノ)はマリアのトニーへの真実の愛を理解し、警察の尋問を受けることになったマリアに代わってトニーにメッセージを伝えに行くが、トニーを匿っているジェット団がアニタに暴行を働く。怒ったアニタは、マリアを好きだったチノ(ホセ・デ・ベガ)が、マリアとトニーの関係を知ってマリアを撃ち殺した、という嘘の伝言をトニーに伝えるよう吐き捨て、その場を去る。それを知らされたトニーはショックを受け、自分を殺せと叫びながら街を歩く。しかし暗闇の中にマリアが現れ、トニーは喜びながらマリアに駆け寄るが、そこにチノが現れてトニーを撃ち、トニーはマリアの腕の中で息を引き取る。マリアは銃ではなく憎しみがみんなの命を奪ったと叫び、くずおれる。刑事が現れチノは捕まり、ジェット団とシャーク団は協力してトニーの亡骸を運ぶ。集まった若者達は無言でちりじりになっていくのだった。

芝居のさなかに唐突に歌い出す典型的なミュージカル映画。有名な曲がいくつもある。ジェット団とシャーク団の勇ましい曲だけでなく、恋愛を歌うメロディアスな曲も目立つ。シャーク団の男女が掛け合いをしながら歌う「アメリカ」は、ラップバトルの原型のようで歌詞が楽しく、こういう時代からアメリカ人は歌の掛け合いになじんでいるのだなと分かる。

【5段階評価】4

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2021年1月14日 (木)

(2297) 怪獣大戦争

【監督】本多猪四郎
【出演】宝田明、ニック・アダムス、沢井桂子、水野久美、田崎潤、土屋嘉男
【制作】1965年、日本、アメリカ

怪獣を使って地球侵略を企む宇宙人と地球人との戦いを描いたSF作品。

木星で新衛星が発見され、探査に向かった富士一夫(宝田明)とグレン(ニック・アダムス)は着陸した衛星でX星人に遭遇。統制官(土屋嘉男)を名乗る男から、衛星で暴れるキングギドラに対抗するため、地球のゴジラとラドンを貸してほしいと依頼される。ところがこれはX星人の策略で、X星人はゴジラとラドンを電磁波で操れるようにすると、地球侵略を開始する。一夫の妹、ハルノ(沢井桂子)の恋人で発明家の鳥井哲男(久保明)は、自分の発明した防犯ブザー「レディー・ガード」の音波がX星人の弱点であることに気づき、そのアイディアを使って地球連合宇宙局はX星人を撃退。電磁波で操られていた怪獣も、一夫の開発した電波遮断装置によって操り状態が解かれる。我に返った怪獣達はもといた場所に帰っていくのだった。

ゴジラが「シェー」のポーズをしたり、古き良き時代の怪獣特撮娯楽映画。怪獣大戦争というタイトルからは、数多くの怪獣が登場して戦い合うような話かと思ったら、登場するのは三体で、しかも怪獣同士の戦いよりは人類と宇宙人との戦いが主題だった。
また、どうして宝田明の相棒役が外国人で、しかも吹き替え音声を加えてまでして日本語ができない俳優を起用しているのかも観ていて不思議だったが、ニック・アダムスが制作陣に気に入られた俳優だったらしい。当時はいわゆる外国人タレントが少なかったこともあるだろう。考えてみれば戦後まだ20年。アメリカ人を憎む日本人もまだまだ多かっただろうし。その他、言語やら物理現象やら、いろいろ気になる点はあるものの、この手の作品に細かい突っ込みは不要だろう。
ちなみに、本多猪四郎監督は「ゴジラ」第1作の監督。

【5段階評価】3

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2021年1月13日 (水)

(2296) 天気の子

【監督】新海誠
【出演】醍醐虎汰朗(声)、森七菜(声)、小栗旬(声)、本田翼(声)、吉柳咲良(声)
【制作】2019年、日本

東京に家出した少年と天気を変える能力を手にした少女の運命を描いたアニメ映画。

病気の母親を看病していた天野陽菜(森七菜)は、雨の中、一筋の光が差しているのを見つけ、その光が当たる廃ビルの屋上の神社で、不思議な能力を手に入れる。同じ頃、東京に家出してきた16歳の少年、森嶋帆高(醍醐虎汰朗)は、住む場所がなくビル街で野宿していたとき、ゴミ箱の中に拳銃があるのを見つけ、鞄にそれをしまい込む。生活に困った帆高は、東京に行くフェリーで偶然出会った須賀圭介(小栗旬)を訪ね、彼の経営する事務所で住み込みの雑用係を始める。ある日、街を歩いていた帆高は、かつてが怪しい男にビルの中に連れ込まれそうになっている陽菜を見つけ、彼女を助ける。帆高は以前、陽菜がアルバイトをしていたマクドナルドで毎晩過ごしており、陽菜に内緒でハンバーガーをもらったことがあったのだ。陽菜は帆高に、自分が祈ると空が晴れるという能力があるところを見せる。それを見た帆高は、異常気象で雨ばかり降る東京で、空を晴れにする依頼をネットで募集し、報酬を得るという仕事を始める。晴れた空に感謝する人々を見て、陽菜は自分の役目に喜びを感じるが、その能力は大きな代償を伴うものだった。天気の巫女は異常気象を元に戻す代わりに人柱となって天に消えていくというのだ。捜索願が出ていて拳銃所持の疑いもあった帆高は警察に追われており、陽菜とその弟の凪(吉柳咲良)とともにラブホテルの一室で一夜を明かすが、朝になると、陽菜の姿は消えていた。帆高は陽菜にもう一度会うため、警察に追われながら、陽菜が能力を手にしたという廃ビルの屋上を目指す。屋上の神社にたどり着いた帆高は、積乱雲の上の世界に飛ばされる。空を落下しながら帆高は、雲の中の魚に囲まれた陽菜を発見。帆高は陽菜と一緒に地上に戻ることを願い、陽菜もそれに答え、二人は手を取り合って元の世界に戻る。その後、逮捕された帆高は保護観察処分となって地元に帰る。3年後、帆高は地元の高校を卒業し、東京に向かう。東京はあれから3年間雨が降り続けており、多くの土地が水没していた。帆高は3年ぶりに会った圭介にけしかけられ、再び陽菜に会いに行く。陽菜は田端の高台で空に祈りを捧げていた。二人は抱き合い、再会を喜び合うのだった。

オープニングの窓ガラスを落ちる雨の雫から、写実的な映像と天気の描写が美しい。CGっぽくない手描き風の背景が、実写映画のように視点の転回に伴ってなめらかに変化するという丁寧な作り。その一方で、雲の上の想像の世界の映像は幻想的で、ジブリ映画のようでもあった。帆高が神社を目指して非常階段を駆け上がるシーンは、音楽も相まって感動的。「君の名は。」の登場人物が作品内に隠れキャラ的に登場しているのも、ファンには楽しい仕掛けだ。

【5段階評価】4

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2021年1月12日 (火)

(2295) パラサイト 半地下の家族

【監督】ポン・ジュノ
【出演】ソン・ガンホ、チェ・ウシク、チャン・ヘジン、パク・ソダム、チョ・ヨジョン、イ・ジョンウン
【制作】2019年、韓国

裕福な家族の暮らす豪邸に寄生した貧乏な一家の運命を描いた作品。第92回アカデミー賞作品賞受賞作品。

低所得層が住む半地下の家に暮らすキム一家。息子のギウ(チェ・ウシク)は大学生の友人ミニョク(パク・ソジュン)から、IT長者パク・ドンイク(イ・ソンギュン)の高2の娘ダヘ(チョン・ジョソ)の家庭教師をしてほしいと頼まれる。ダヘの母親ヨンギョ(チョ・ヨジョン)が、幼い息子ダソン(チョン・ヒョンジュン)の絵の先生を探していると聞いたギウは、家族であることを隠して妹のギジョン(パク・ソダム)を絵の先生に据える。帰宅したドンイクは、おかかえの運転手にギジョンを送るよう命じる。ギジョンは車の中でこっそり自分のパンティを後部座席に脱ぎ捨て、ドンイクが運転手を首にするようしむけ、運転手の座に父親のギテク(ソン・ガンホ)をつかせる。キム一家はさらに計画を練り、長年家政婦をしているムングァン(イ・ジョンウン)が桃アレルギーであることを利用して、彼女が結核患者だとヨンギョに信じ込ませ、首になったムングァンの後任として、母親チュンスク(チャン・ヘジン)が家政婦になる。こうしてキム家の四人はまんまと豪邸への寄生に成功する。しかし唯一、ダソンは、四人から同じ匂いがすると言ってギテクを慌てさせる。
パク一家が、ダソンの誕生祝いのため泊まりのキャンプ旅行に出かけたのを機に、キム家は四人揃って豪邸で酒盛りをする。ところがそこにムングァンが訪ねてきて呼び鈴を鳴らし続ける。インターホンに出たチュンスクに、ムングァンは忘れ物をしたから家に入れてほしいと言ってくる。チュンスクが仕方なくムングァンを招き入れると、ムングァンは食料庫に向かう。そこにはなんと秘密の地下室への通路があった。ムングァンはパク家に内緒で、借金取りに追われている自分の夫オ・グンセ(パク・ミョンフン)を地下室にかくまっていたのだ。それを知ったチュンスクは彼らを警察に突き出そうとするが、その様子を隠れて聞いていたギウたちが階段を踏み外してムングァンの前に姿を現してしまい、彼らが家族であることがムングァンにばれ、さらにその様子を動画に撮られてしまう。形勢は逆転し、ムングァンはグンセとともにリビングでくつろぎ、キム一家に両手を挙げさせて自由を奪うが、隙を突いてキム家がムングァンとグンセに飛びかかり、リビングで乱闘となる。そこに電話がかかってくる。パク家が大雨のためにキャンプができなくなり、帰って来るというのだ。キム家はムングァンとグンセを地下室に閉じ込める。チュンスクは階段を上がってこようとするムングァンを蹴落とし、ムングァンは頭を強打して気を失ってしまう。チュンスク以外の三人は何とか豪邸を脱出。大雨の中、家に戻るが、家の中には下水が流れ込んでおり、彼らは体育館で一夜を過ごす。体育館の中でこれからどうするのかギウに尋ねられたギテクは、無計画が一番いいんだと話す。ギウは無謀な計画を立てたことを謝罪する。
嵐が去り、パク家はダソンを祝うホームパーティを開くことにし、ギウとギジョンも招待される。ギテクの運転する車でパーティの買い出しに出たヨンギョは、車内でギテクの体臭に鼻をつまみ、思わず窓を開ける。昨晩大雨の中で必死だったギテクの顔からは笑顔が消えていた。
パク家に多くの客が招待され、庭でパーティが盛り上がる中、ギウは恋仲となったダヘの部屋で彼女との口づけを終えると、ミニョクからもらった観賞用の岩石を持ってムングァンとグンセのいる地下室に向かう。ところが待ち伏せしていたグンセに襲われ、慌てて逃げた背後からグンセに岩石で殴られてしまう。正気を失ったグンセは、包丁を持ってパーティ会場の中庭に現れ、バースデーケーキをダソンに渡そうとしていたギジョンに包丁を突き立てる。幼い頃にグンセの姿を見て失神したことのあるダソンは、同じグンセの姿に再び失神。ギジョンを刺したグンセは、今度はチュンスクに襲いかかる。パニック状態となった客は逃げ出し、ドンイクは息子を病院に連れて行くため、ギテクから車の鍵を受け取ろうとするが、ギテクの投げ渡そうとした鍵は地面に落ち、そこにもみ合うグンセとチュンスクが倒れ込む。包丁を振りかざすグンセの腹部に、チュンスクがバーベキューの串を突き刺し、グンセは鍵の上に倒れる。ドンイクはグンセを押しのけて鍵を手にするが、そのときグンセの体臭に顔をしかめ、同時に、何かに気づいたような表情を浮かべる。その顔に「これはギテクと同じ匂いだ」と書かれていると思ったのか、ギテクは突如、落ちていた包丁を手にすると、そのままドンイクの胸に包丁を突き立て、姿を消す。事件の結果、ギジョンとグンセ、ドンイクが命を落とし、ギウは脳手術を受けて何とか生存。ギウとチュンスクは執行猶予付きの有罪判決を受けるが、ギテクは行方不明となる。ギテクはグンセのいた地下室に潜んでいた。彼はすでに亡くなっていたムングァンを家主不在の間に庭に埋葬し、その後はモールス信号で息子にメッセージを送り続けていた。ギウはある日、それに気づき、金を稼いで豪邸を買い、父親に地下室から出てきてもらうことを計画立てるのだった。

アジア初のアカデミー賞作品賞受賞作品ということで、日本でも相当話題になった本作。クライムサスペンス風の前半から、後半の惨劇のシーンまで、どこか浮世離れしたコミカルな雰囲気を帯びながら、韓国の貧富の差という現実を描き出している。中だるみのないハイテンポな展開が小気味よく、シナリオもよく練られている。匂いが一つの鍵になっており、クライマックスの惨劇のシーンで、言葉を使わず表情やしぐさだけで匂いにまつわるやりとりを描く演出は見事。人によって解釈が異なるような含みがあり、繰り返し観て新たな発見があるようにもなっている。評判通りの名作だった。

【5段階評価】5

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2021年1月11日 (月)

(2294) 劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女

【監督】吉田りさこ
【出演】中村悠一(声)、早見沙織(声)、小原好美(声)、日笠陽子(声)
【制作】2017年、日本

魔法が存在する未来社会の高校生が活躍するSFアニメ。佐島勤のライトノベルが原作。

魔法科高校の司波達也(中村悠一)と妹の深雪(早見沙織)は、クラスメート達と小笠原諸島に遊びに来ていた。彼らは、小惑星を地球に落下させる実験から逃げてきた少女、綿摘未九亜(わたつみここあ)(小原好美)と出会い、九亜から、彼女と同様に実験に巻き込まれている残りの8人も助けてほしいと頼まれる。達也は千葉エリカ(内山夕実)、西城レオンハルト(寺島拓篤)とともに研究施設に向かい、少女達を救出。リーナ(日笠陽子)の協力を得て地球に落下する軍事衛星を消し去ることにも成功するのだった。

テレビアニメのダイジェストではなく、別のエピソードになっているが、作品の設定や時代背景はオープニングでごく完結に説明があるだけなので、作品の雰囲気を知ることはできるが、登場人物の関係は本作を観ただけではよく分からない。魔法の映像や武器、乗り物のデザインはけっこうしっかりしており、美少女キャラの入浴シーンもあったりするので、そういったアニメや声優好きのファンには楽しい作品だろう。

【5段階評価】3

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2021年1月10日 (日)

(2293) 機動戦士ガンダムNT

【監督】吉沢俊一
【出演】榎木淳弥(声)、村中知(声)、松浦愛弓(声)、梅原裕一郎(声)
【制作】2018年、日本

SFアニメ、機動戦士ガンダムの劇場版。機動戦士ガンダムUCの後の世界を描いている。

宇宙世紀0079にジオン公国が行った「コロニー落とし」を予知した三人の「奇跡の子供たち」。ヨナ・バシュタ(榎木淳弥)はモビルスーツのパイロットに、ミシェル・ルオ(村中知)はルオ商会会長の養子になり、リタ・ベルナル(松浦愛弓)はヨナ同様軍人となるも行方不明となっていた。地球連邦政府とジオン軍は、神出鬼没のユニコーンガンダム3号機「フェネクス」を捕らえようとしていた。ミシェルに送り込まれたヨナは、パイロットがリタだと確信し、フェネクスを逃がしたため、ミシェルはリタに怒りをぶつける。ミシェルは、人の意識で動くサイコフレームを使えば、人は意識を永遠に存在させることができると考えていた。
ジオン軍はフェネクスを捕らえるため、シャアの再来を目指した開発人間ゾルタン・アッカネン(梅原裕一郎)を送り込む。戦争狂となったゾルタンは、サイド6内で禁止されている武器を使用して、ヨナの乗るナラティブガンダムB装備を攻撃。そこに現れたフェネクスから、リタの意識が、ジオン軍のIIネオ・ジオングはこの世にあってはならない、とヨナに話しかける。ゾルタンはIIネオ・ジオングを奪って暴走を始め、地球連邦軍のイアゴ・ハーカナ(中井和哉)の制御を奪うが、ミシェルが自らを犠牲にしてイアゴを救い、ヨタはミシェルとヨナの意識を味方にしてゾルタンを倒すのだった。

機動戦士ガンダム」3部作や「機動戦士Zガンダム」3部作を観た程度のガンダム初心者では、とても内容についていけない。少なくとも機動戦士ガンダムUCの理解はほぼ必須だろう。モビルスーツの動きが速い上に各機体が地球連邦軍なのかジオン軍なのか、機体ごとの特徴の差異が分かりづらいので、誰が誰と戦っているのか、視認するのが困難。知っていないと区別できない。初代「機動戦士ガンダム」はどれがジオン軍のモビルスーツか悩むなんてことはなかった。そして、フェネクスに関する予備知識がないと、物語の全体感も判然としない。結果として個人的にはほとんど楽しめない作品だった。こんな調子なので、上のあらすじもはなはだ心許ないわけだが、確認する気も起きないので、あまりここのあらすじは鵜呑みにしないでください。

【5段階評価】2

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